答案作成の節約法と法律解釈の仕方

現在は憲法の答案例を主にあげているブログです。

憲法演習ノート 21.パパには長生きしてほしかった(泣)

 

 

第1 問1

1 民法900条4号の嫡出子と婚外子法定相続分に差異があったが、これが合理的区別に当たらず、「差別」であるとして、憲法14条1項の平等権に反するものとして、民法900条4号は違憲である。

2 民法900条4号は、それが制定された当時の時代背景は、日本の家制度を重視し、法定婚を経て戸籍上家族として認められる者を、事実婚を経て実質上の家族として認められる者よりも優越して相続分を得ることが出来るという規定である。

 しかし、そもそも同じ父親を持つ子供を嫡出子と婚外子に分け、法定相続分に差異を設けること、そて、現代の多様化した社会情勢の中法律婚に加えて、事実婚する男女が増えているという状況を加味すると、民法900条4号の差異はもはや合理的区別とはいえず、差別に当たる。

3 したがって、最高裁民法900条4号は憲法14条1項に反し違憲であると判示した。

4 そして、これによって、民法900条4項は違憲であるから、同条項に従って行われてきた遺産分割も違法・無効である。

 また、2001年7月当時には、民法900条4号は憲法に違反する法律として無効であった。

 しかし、これまでに行われてきた遺産分割のすべてが違法であり、判例変更を必要とするものではなく、最終的には遺産分割は当事者間の合意等により、確定的になったのであるから、このような法律関係にまで影響を及ぼすことは、法的安定性を欠き、相当でない。

5 したがって、本判決の影響が及ぶのは、民法900条4号が改正され、それが施行されたことによってそれ以降の遺産分割に及ぶことになる。

第2 問2

1 最高裁の判示に対して、本件遺産分割が協議を終えたのは2013年8月20日であり、少なくとも2001年7月当時には民法900条4号が違憲状態であったなら、本件遺産分割は違憲違法な法律に従ってなされたもので無効となるべきである

 そして、本判決の遡及効が本件遺産分割時には及ぶと反論することが考えられるこれについて、以下の私見述べる

2 違憲判決の効力は訴訟当事者にのみ及び、一般的遡及効はないと解されている。

 本件判決は、遅くとも訴訟の対象となった相続が開始された「2001年7月当時において」、当該民法規定は違憲であったと判示した。

 しかし、同判決までの約12年間に本件規定の合憲性を前提としてなされた多くの遺産分割にまで違憲判決の効力を及ぼすと、それこそ「著しく法的安定性を害することになる」。

 そこで、同判決も、既に「確定的なものとなった法律関係に影響を及ぼすものではない」、という形で遡及効を限定している。

3 しかし、本件遺産分割は本判決ないし本件決定が判示される約2週間前になされたものであり、本件決定が2週間後に出る可能性があることを知っていたのであるのなら、本件遺産分割に及ばなかったであろうことは予想される。

 したがって、錯誤無効の主張をしうる。 

 そうすると、「本件遺産分割が確定的なものとなった法律関係」はいえず、本件遺産分割には、本件決定の効力が及びうる。

4 したがって、本件違憲判決の効力は本件遺産分割に及び、違憲違法となり、無効となる。

 

                                                                      以上(1326字)

 

※これにて、『憲法演習ノート』の答案例もすべて掲載完了となりました。ここまで日にちがかかるとは思いませんでしたが、なんにせよ完走できてなによりです。

民法改正により、条文が変わっている部分があるかもしれませんが、あくまで本設問が作られた当時の条文に合わせて解答しています。

※久しぶりの更新になってしまいました。自分の勉強のためにもなにか新しく演習書の答案でも書こうかなと思ったり思わなかったり。