答案作成の節約法と法律解釈の仕方

現在は憲法の答案例を主にあげているブログです。

 憲法演習ノート 2.「憲法改正の阻止は公務員の義務?」

 

 

第1 問1 (以下、憲法は法令名省略)

1 Xは、集会において政治的意見表明を述べたとして、条例4条4号、5条2項によって、戒告処分(以下、「本件処分」という)を下されている。

 Xのマイク・パフォーマンスの内容は表現の自由(21条1項)にかかるもので、これを本条例によって制約されているから違憲違法であると主張する。

2 まず、Xのマイク・パフォーマンスの内容は「憲法9条は日本の宝であり、是非とも守っていかなければならない」、「憲法9条の破壊に向けた政治動向をこれ以上加速させてはならない」、「自分は公務員であるが、憲法尊重擁護義務を負っている。公務員の1人として、断固として憲法を守るために現政権と闘っていく」旨の発言をしている。このような発言は、Xの政治的活動の自由に基づくものであり、それを外部に表現することは、自己統治の価値が正面から妥当する場面であること、このような自由は立憲民主政の政治過程にとって不可欠の基本的人権であり民主主義社会を基礎付ける重要な権利であり、これに対して戒告処分を与えておりこれは重大な制約といえる。

 そこで、公務員に対する政治的行為の禁止は、国民としての政治活動に対する必要やむを得ない限度にその範囲が画されるべきである。具体的には、条例4条4号にいう「政治的意見」とは、公務員の職務の遂行の政治的中立性を損なうおそれが、観念的なものにとどまらず、現実的に起こり得るものとして実質的に認められるものを指し、これを禁止の対象となる政治的意見として規定したものであると解するべきである。

 本件では、Xはステージ上で上記のマイク・パフォーマンスを行っているが、これは公務員として忠実に憲法重擁護義務(99条)を遂行する行為であり、むしろ公務員の職務を遂行するにあたって政治的中立性を保つ行為であるといえ、政治的中立性を損なうおそれが、現実的に起こり得るものとして実質的に認められない。

 したがって、本件処分はXの政治的活動の自由(21条1項)を制約するものとして違憲・違法である。

第2 問2

1 被告A市の反論は以下のものが予想される。

 すなわち、公務員の職務は、一般的な国民が行う職業として行うものではなく、国民の全体に対する奉仕として運営されるべきであることであり、本件処分は間接的・付随的制約に過ぎないと反論する。

2 以上に基づき、以下で私見を述べる。

(1)まず対象となっている条例4条4号にいう「政治的意見」の意義については、公務員が国民の全体に対する奉仕として運営されるべきであり、本件処分は間接・付随的制約に過ぎないことは被告の反論の通りである。しかし、政治的活動の自由は自己統治の価値が正面から妥当する場面であること、政治活動の自由は立憲民主政の政治過程にとって必要不可欠基本的人権であって、民主主義社会を基礎付ける重要な権利であることも確かである。 

 したがって、公務員の政治的行為の禁止は、国民としての政治活動に対する必要やむを得ない限度にその範囲が画されるべきである。

 具体的には条例4条4号の「政治的意見」とは、公務員の職務の遂行の政治的中立性を損なうおそれが、観念的なものにとどまらず、現実的に起こり得るものとして実質的に認められるものを指し、これを禁止の対象となる政治的意見として規定したものであると解するべきである。そして、こうしたおそれが認められるか否かは、当該公務員の地位、その職務の内容や権限、当該公務員がした行為の性質、態様、目的、内容等の諸般の事情を総合して判断するのが相当である。

(2)本件でのXはA市役所で多数の部下を抱える管理職として市の政策立案に関係する業務に従事している地方公務員であり、その地位や職務内容・権限はA市役所で大いに影響力を持つものであるといえる。また、Xが行ったマイク・パフォーマンスは会場の熱気に昂奮してなされたものであり、その発言内容もかなり過激なものであったといえる。さらに、本件集会には著名人も多数参加しており、このように発信力や影響力を持つ場で公務員であることを明言してなされた本件パフォーマンスは、明らかに公務員の職務の遂行の政治的中立性を損なうおそれがあると言わざるを得ないし、現実的にそのおそれが存在していると認められる。 

(3)したがって、Xの本件パフォーマンスは「政治的意見」にあたり、本件処分は合憲である。

 

以上              

 

 

 
 ※第2の2(1)では、直接的制約だと言ったほうが、その後の文章のつながりもよくなると思います。問題文を見返す気力がないので、そこはちょっと考えてみてください笑
※被告の反論は、審査基準も書いたほうがよきで、あてはめも軽くしましょう。